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まだ桜の散り残る先日の日曜日
大阪の国立文楽劇場へ、久しぶりに文楽を見に行って来ました。

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演目は、『 楠昔話 』  と  『 曾根崎心中 』 です。
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まずは、いつものように観劇の助けになるイヤフォンガイドを借りました。

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人気の作品ということもあって、劇場内は満席のようでしたが
急に思い立ったにも関わらず、1席だけだったためか
幸運なことに前から5列目の中央の席が取れた私は、前へ前へと行きました。

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1つ目の演目、『 楠昔話 』 は、「 昔々、じいは山へ柴刈りに、ばばは川へ洗濯に 」 の
お馴染みのフレーズで始まる ほのぼのしたものでしたので
 私も、のんびりとした気持ちで見ていましたら
史実を絡めながら、途中からは予想外の衝撃の展開を見せ
少し眠くなりかけていた目も、一気に覚め、さすが文楽仕様のお話だと思いました。

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思わず力が入った2時間強の公演が終わると18時15分で
30分の休憩時間の間にササッとお弁当を食べ
この休憩を入れてですが4時間21分という長丁場に備えて、外にでて少し腰を伸ばしました。

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さて、2つ目の演目 『 曾根崎心中 』 です。
今回は、これが見たくて来たのでした。

今から3年前の8月に、京都で三谷幸喜さんが脚本を書かれた
 『 其礼成心中(それなりしんじゅう) 』 を見ました
『 曾根崎心中 』 を元に書かれた抱腹絶倒のパロディ作品でしたので
以来、どうしてもオリジナルの方を見たくて仕方がなかったのです。

2年前の5月に、大学の社会人向け講座に中に 『 曾根崎心中 』 を見つけて
アウトラインを習い、作品のDVDの一部見せてもらったりしたことで
本物を見たいと余計に思うようになりました。

そして、去年の1月にNHKで放映された『 ちかえもん 』
曾根崎心中を書くまでの近松門左衛門さんのお話で毎週楽しみに見ていましたが
当然のことながら人形浄瑠璃のシーンは、あまり出てきませんでした。

 

ということで、今回は満を持しての公演だったのです。

名場面の多い作品です。
その名場面を、ベテラン人形師さんの操る人形の所作の柔らかさ、たおやかさ
襲名披露中の豊竹呂太夫さんの、全身を使った語りの熱演
そして、情感を盛り上げる三味線のベン、ベベ、ベン!で見られて、大変満足でした。

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ただ1つだけ残念だったのは、名場面中の名場面の1つである
「 足問答 ( あしもんどう ) 」 と呼ばれている縁の下でのシーンが
私の目の前に座った、髪を大きくボリュームアップさせた年配の女性の頭が邪魔になって
とてもとても見づらかったことでした。
座席が前の方だったこともあると思いますが、こういう場所に来るときは
後の人のことも考えて、髪をセットして欲しいと切に思いました。

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この世の名残り、夜(よ)も名残り
死にに行く身をたとふれば、仇(あだ)しヶ原の道の露
一足ずつに消えてゆく、夢の夢こそ哀れなれ

いつもながら、大変感動し
その感動の余韻を楽しみながら、お家に帰りました。

『西嬉 HP』 http://www.nishiki.ecweb.jp/