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大阪の国立文楽劇場に新春文楽公演を見に行ってきました。
途中、文楽講座でお勉強はしていましたが、劇場へ足を運ぶのは1年半ぶりです。

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文楽は大抵が午前始まりと午後始まりの二部制になっていて
今回は、講座で学んだ 『 冥途の飛脚( めいどのひきゃく )』の上演がある
第二部の方を見ることにしました。
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劇場内は、新春公演ということで
門松や鏡餅、餅花などが飾られ、華やかな雰囲気でした。

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いつものようにイヤホンガイドを借り、前から3列目の席に着きました。

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『 冥途の飛脚 』は、遊女の梅川との恋に目が眩み、死罪と分かっていながら
預かった公金に手をつけてしまった飛脚屋の養子の若旦那、忠兵衛のお話です。

今回は、その中からお金が滞り始めた飛脚屋の段
男の意地から公金に手を付けてしまう段
そして、追われる身となり梅川と共に
故郷の村まで打ちひしがれながら逃げていく段が上演されました。

イヤホンガイドを聞きつつ、講座で学んだことも思い出しながら
目の前で繰り広げられる情景を楽しみました。

ただ・・・

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私の目の前の席には半袖のTシャツを着た大柄な外国の方々がグループで来ておられ
視界の一部が遮られてしまうことにガッカリしました。

ですが、幕間の25分間の休憩の後に始まった第二部の2つ目のお話、
『 壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)』が始まる時には
帰られたようで、一気に視界が開けました。

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このお話では、恋人の行方を聞かれても
知らないと言い通す花魁の阿古屋が拷問にかけられます。
阿古屋琴責の段といいます。

拷問と言っても、お琴と三味線と胡弓を弾かされ
その音色に嘘をついていることによる乱れがないかを試されるのです。

桜や牡丹、紅葉に蝶などが、金銀の色を織り交ぜた刺繍で描かれた
豪華絢爛な衣装をまとった阿古屋が登場すると
場内からは大きな拍手が起きました。
私も、バッグから小さな双眼鏡を取り出して、じっくりとお着物の柄を見ましたが
本当にため息が出るような美しさでした。


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そして、もう一つの見どころは文楽人形が弾く楽器です。

実際の音は右手にいらっしゃる三味線の方が弾かれるのですが
本来ならくっついて動かないはずの人形の指が
これらの楽器の演奏のために特別にバラバラに動くよう作られ
あたかも本当に琴を弾くように
あるいは、三味線の棹を抑えたり、棹の上を滑らせたりと
違和感のないなめらかさで動くのです。

これは本当に楽器を奏でているようで見ごたえがあり
つい身を乗り出して、お人形の手元と三味線方の手元を
見比べながらの贅沢な鑑賞となりました。

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終わった後も、高揚した気分のまま電車に乗りました。

確かに映画を見たりすることと比べると文楽の敷居は高いですが
それでもやっぱり生の公演はいいなと改めて思いました。
数々の印象的だった場面を反芻しつつも
日本橋からの電車の乗り継ぎを間違えないよう気を付け
無事にお家に帰りました。

『西嬉 HP』 http://www.nishiki.ecweb.jp/