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今からもう2週間も前のことになりますが、お友達と一緒に、前から一度行ってみたかった
奈良国立博物館で開催されている正倉院展に行って来ました。

とても混雑していて、待ち時間も長いと聞いていたので
少しでも待ち時間を短くしようと、眠い目をこすりながら早起きをして
三宮を7時過ぎに出る近鉄特急に乗り込みました。

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あまり寝る時間がなかったので、欠伸ばかりしていた時のことです。
電車が芦屋駅に停まってドアが開いた途端、首輪をしたワンちゃんが
リードも付けずに入って来ました。
他の乗客の人達も驚いて、そこだけ少し空間ができました。

最初は非常識な飼い主がいるものだと眉をひそめたのですが、
でも、近くに飼い主らしい人が見当たりません。
どうも迷い犬がたまたま誤って電車に乗り、そのままドアが閉まってしまったようなのです。

ワンちゃんは、しばらく辺りを嗅ぎまわった後、私の座っている座席の横を通って
車両の後ろの方に移動して行ったのですが、それを見かねた制服姿の女子高生が
「私、車掌さんに言ってくる!」と、その犬を追いかけるように席を立って行きました。

大人は見ているだけだったのに、女子高生、エライです。
次の西宮駅に停まったところで、駅員さんが前方からホームを駆けてきて
ワンちゃんは無事に電車を降ろされたようでした。
車内にはなんとなくホッとした空気が流れました。

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そうこうしている内に、電車は雨の近鉄奈良駅に到着し
正倉院展のバナーを見てワクワクしながら奈良美術館へと向かいました。
開館の15分ほど前には到着したのですが、入館を待つ人達の列は
すでにスゴイことになっていました。

列の最後尾から前を見てみますと、この列は前の方でほぼ直角に左に曲がり
少し湾曲しながらず~っと進んだ先を右に折れて、やっと美術館の端っこに辿り着きます。
ひえ~!でしたが、あまりに並んだ人の数が多かったからか
定刻よりも少し早く開館しますとの案内があり、列はゆっくりと前に進み始めました。

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お陰で、9時10分頃には入館できました。
館内は確かに混んでいましたが、これぐらいなら、
他の人気の展覧会でも経験済みです。

順路通りではなく、空いているところを見つけては
そちらを先に見るという風にすると、そうストレスもなく
最前列で、精緻にして豪華絢爛な琵琶や、
鮮やかな赤が目を引く物差しや、舞い用のお面や
献上品入れの象嵌細工の飾り箱や、
珍しい石の笛などの宝物を見ることができました。

そのどれもに裏側のこんな所にまで!と驚くような装飾が
ほどこされていて、1300年前の高貴な人々の
豊かな暮らしぶりを、うっとりと想像しました。

本当はどれか一つぐらい欲しかったのですが、絵ハガキと来館記念スタンプだけで我慢しました。

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見終わったのは11時過ぎでしたが、朝も早かったことですし、
早めの昼食を摂ることにしました。この時間なら、どの店もまだ空いています。

あちこちのメニューを見て回り、やはり折角奈良に来たので
ハンバーグやパスタのような物よりも、しっとりとした和食が気分だということで
お友達と意見が一致しました。

お造り・焼き物・焚き合わせ・天ぷら・酢の物と、美しく盛り付けられた一通りが
可愛らしい籠に入って供されたお料理は、味はもちろん、目にもご馳走でした。

ゆっくりとお食事をして、店内がそろそろお昼の時間で混み始めた頃
紅葉が美しい奈良公園を抜けて、東大寺へと向かいました。

続く。

『西嬉 HP』 http://www.nishiki.ecweb.jp/

追記

西宮駅で下されたワンちゃんのその後が気になったので、翌日、駅に電話してみました。
「お忙しいところスミマセン。私は全然関係ないのですが、その後犬がどうなったのか気になったので・・・」と言って、前日の出来事を説明すると、「撲がその駆けてきた駅員です!」とおっしゃり、ワンちゃんは拾得物として無事に西宮警察に届けられ、そこで保護されていますというお話をして下さいました。